1. ネパール現地での事業・活動計画
1.1. 植林・生活林再生プロジェクト
◇ 【パルバット郡】昨年に引き続き、パルバット郡レスパル村に昨年度新しく建設した苗畑の整備・拡充を進めていきます。新しい事業地であるレスパル村の植林事業も軌道に乗ってきています。ひきつづき、本会のこれまでの事業地の苗畑管理人を送り、交流・派遣研修をするなど、事業を通して得た叡智の有効活用方法についても住民とともに学んでいきます。今期は5年目を迎え 2020年度の育苗目標は8,000本としています
◇【ミャグディ郡】広大な植林需要を抱えるミャグディ郡バランジャ村とジーン村も、昨年に引き続き植林事業を推進していきます。両村は経験を積んだ苗畑管理人の技術の向上が見られ、本年度は各村で約 20,000~25,000本の育苗を目指しています。
◇ ダウラギリ地域の事業地 3 村(ジーン村、バランジャ村、レスパル村)で、年間植樹本数は合計約 55,000本を予定しています。
1.2. キウイ栽培によるアグロフォレストリー・プロジェクト
◇ 昨年に引き続き、バランジャ村のキウイ栽培試験区の整備を実施し、本年度~来年度への最初の結実に向けた準備を進めます。
◇ 本年もバランジャ村で協力農家10世帯程度を募集し、キウイ苗を無償で提供し、「IHC協力農家」としてキウイ栽培地の拡大と栽培者数の増加による地域理解の促進を進めます。
◇ アカデミアでの人脈を活用し、ネパール現地の教育機関(トリブバン大学など)、民間団体(NGO/NPO など)、日本大使館との連携を深め、現在の活動を農業支援・アグロフォレストリーとして確立します。
1.3. 非木材・林産物活用プロジェクト
◇ 本年より、カトマンズやポカラ近郊に新たに農業試験サンプルサイトの設営を検討し、日本から持ち込んだ野菜・果物(トウモロコシ、シイタケ、ブルーベリー、梨、桃など)の種子を播種・栽培し、地域環境への定着について検証します。これら実験区での検証によって得られた結果にもとづき、あらたなプロジェクトの計画・立案に活用します。活動対象地がダウラギリ州外も含まれるため、活動に必要な十分な情報と人脈の形成を図ります。
1.4. 現地IHC-Nの新規体制への移行
◇ 本年度より、現地IHC-Nの体制の抜本的な見直しと刷新を検討します。IHC-Nの立て直しや人員体制の見直しのほか、IHC-International(仮)などの企業法人の設立により、現地での活動をよりダイナミックに展開する計画があります。
1.5. 広域ヒマラヤ地域(ネパール/ブータン/インド北部)の調査・研究の促進
◇ ネパールに限らず、ブータンやインド北部などでの自然科学・人文社会科学調査を実施し、ヒマラヤ地域の人々の暮らしと自然を包括的に理解することに努めます。
◇ IHCとの将来的に協働が可能な、若手研究者、社会起業家、実務家などを発掘し、ヒマラヤ地域にたずさわる人材の底上げをめざします。本会への活動の同行、業務の委託・割り当てなどを通じて、共同の可能性を模索します。
2. 日本国内での事業・活動計画
2.1. 国際交流・理解促進事業
本年度より第23回ネパール・ヒマラヤ山岳エコロジースクールについては、開催に向けた準備を進めます。
2.2. 国際協力イベントへの参加・広報活動・地球市民学習事業
◇ グローバルフェスタ2019年度(10月)に出展し、本会の活動を広く一般の皆様に伝えます。
◇ 現地・国内の活動はホームページで随時報告し、会報「シャングリラ」は年に2回発行します。
◇ 日本国内の山岳地方が直面している問題を調査し、途上国のフィールドでの問題解決の経験と成果を活かした国内・海外の双方向での活動の可能性を模索します。
2.3. ネットワーキング
◇ SDGsへの取り組みをするマルチステークホルダー(政府機関、企業、NGO、教育機関など)の共同勉強会に参加し、各セクターの得意分野を活かした課題対処法や取り組み方への学びを進めます。
◇ 昨年に引き続き、SDGsに向けた環境保全や生産体制のあり方に目を向け、産学官の様々な立場の人々とのネットワークキングを推進し、IHCが人と知識をつなぎ合わせるハブ機能の確立を目指します。
2.4. 研究学術面・政策提言
◇ 現地の現状や事業活動をアカデミックに調査・分析し、成果を査読誌や学会で発表します。地球人類が解決すべき喫緊の課題SDGsの理念のもと、政府機関、企業、大学、NGO、プロジェクト参画者などのマルチステークホルダーが集まり、今後の地球規模の問題解決のあり方を協議する交流会や勉強会などの場面に積極的に参画し、複数セクターが協働で活動する際に大切にすべき現地側の視点や活動を提言します。