2006年度ネパール事業計画
1.森林保全事業
当協会の事業の特徴は、地域の森林保全と住民の生活改善を同時に進め、自然環境と地域社会の調和的な発展をめざすところにあります。本年度もこの方針にそって事業を展開していきます。
(1)生活林造りプロジェクト
昨年度開始した「生活林造りプロジェクト」の2年目を着実に進めます。本年度は、苗畑運営と苗木生産を継続するとともに、苗木の植林を本格化させます。また、苗畑を管理運営する苗畑管理人の研修や、地域住民に森林保全に関する認識を深めてもらうためのワークショップを開催します。学校にも苗木を配布し、生徒たちに植林に参加してもらいます。
> ネパール全図 > プロジェクト地 位置図
(2)既存の植林事業をさらに縮小
ナンギ村・アウロ村・ティコット村・キバン村の支援規模を50パーセント削減し、苗木の生産本数を減らし、村へのハンドオーバーを着実にすすめます。
2.生活改善事業
(1)収入向上
森林は、ただ増やし保護すればよいというわけではなく、森林を、住民の生活改善のために利用する道をひらかなければなりません。本年度は、森林資源の有効利用に一層 力を入れていきます。
新プロジェクト地であるサリジャ村で、ロクタ(紙の原料になる木)やイラクサ(繊維の原料になる木)の加工施設を建設します。ロクタやイラクサの加工製品は、将来的には、村人の収入向上につながります。
(2)生活廃棄物処理
パルバット郡オカレニ村において、生活廃棄物処理事業を新たに始めます。ゴミ箱を設置し、ゴミ貯蔵施設を建設します。
(3)生活基盤整備
ミャグディ郡ガーラ村およびリマ村では生活用水の確保が困難になっています。そこで、水源地に貯水槽を建設し、そこからパイプラインを村落まで引き、衛生的な生活用水を村に供給できるようにします。
3.保健衛生事業
若者に対するHIV/AIDSワークショップを開催します。
4.教育支援事業
(1)6年生~12年生までのべ40人に奨学金を支給します。
(2)地域を理解するためのクイズコンテストをおこないます。生徒18人、教師6人が参加します。
(3)タカリー族が暮らすトゥクチェ村の学校では理科実験用具が極端に不足しているので、これらを整備します。
5.文化保全事業
チベット系民族がくらすムスタン郡ジョムソンでは、学校でチベットを教えていないためチベット語が消滅しつつあります。
そこで子供たちを対象にしたチベット語教室を開催し、チベット語を後世につたえるようにします。
2006年度国内事業計画
今年度は、IHCの「学び合い」の精神をモットーとして、会員がネパールをより深く理解し、かつ会員相互に信頼の絆を強めるため、特にイベント活動の充実に力をいれ、その活動を会員増強につなげていきます。
今年度実施する主な事業は次の通りです。
1.イベントの展開
会員相互の理解と親睦を図り、さらにネパールへの想いを膨らませるため、次のようなイベントを実施します。
(1) ネパールサロン
毎月1~2回、IHC事務局を利用して、楽しく語り合う集いを開催します。
会員相互の交流と新規会員の誘い出しの場としたいと思います。
(2)富士山麓スタディツアー
自然の中で、ネパール山村の暮らしを擬似体験します。
(3)ネパール料理を楽しむ会
ネパール料理を通じて、ネパールをより身近に体感して頂きます。
(4)自然に親しむハイキング
誰にでも参加できる楽しいハイキングを開催します。
(5)グローバル・フェスタ参加
東京・日比谷公園で開催する大規模な国際交流イベントである「グローバル・フェスタ」に今年も参加して、IHCの活動をPRします。
(6)代々木イベント「ネパールが代々木3丁目にやってくる」
新規会員発掘の場として、事務局のある代々木でのイベントを定着させていきます。
2.国際交流・理解促進
(1) スタディツアーの開催
8月と来年3月にカトマンドゥ郊外のダパケル村などを舞台にして、スタディツアーを開催します。
(2) 山岳エコロジースクール(MES)の開催
12月にナルチャン村で第13回山岳エコロジースクールを開催します。
(3) 日本の学校とネパールの学校との提携を仲立ちして、ネパールの子供たちとの文通などを通じて相互理解を深めます。
3.財政基盤の充実
(1) 会員の定着・増強
・新規会員獲得100名を目標とします。
・会員増強を図るため、学生を対象とした新たな会員制度をスタートさせます。
・イベントを新規会員発掘の場と位置付け、積極的な勧誘を勧めます。
・A会員を対象に、ネパールからご協力に感謝のメッセージをお送りします。
(2) 募金キャンペーンの実施
夏と冬の募金キャンペーンを実施します。
4.広報活動の充実
(1) ホームページのリニューアル
内容を充実し、しかも楽しく読みやすいホームページに模様替えします。
(2) パブリシティの活用
IHCの活動を広く理解して頂くためにパブリシティ活動を展開します。
(3) 講師の派遣
ネパールやIHCの事業を理解して頂くため、様々な学習活動に講師を派遣します。
(4) 会報の内容充実
会報「Shangri-la」の内容充実に努めます。
5.事務局新体制の定着と強化
事務局長の交代を機に、業務の効率化を進めるとともに、開かれた事務局として会員に活動の場を提供するなど、フレキシブルな事務局運営を目指します。
6.ネパール現地事業の支援
(1) ネパールの現地事業を成功させるため、IHC-ネパールとの連携を一層強化し、信頼関係をより発展させます。
(2) 専門家の派遣
新規プロジェクトを軌道に乗せるため日本人専門家を派遣し、現地の事業を指導します。
(3) スタッフの中期派遣
スタッフを一定期間ネパールに派遣して、IHC-Nの今年度事業の進捗状況などについてアドバイスを行います。
7.研究や提言
(1) ネパール情勢の分析
流動的なネパールの情勢について、情報の収集分析に努め、事業活動の円滑な推進に資します。
(2) 伝統と開発に関する研究や提言
カトマンドゥ近郊の農村やパルバットおよびミャグディ郡下の山村でおこなうスタディツアーを通して、ネパールの歴史や伝統、これからの開発のあり方について研究していきます。
8.ネットワーク
(1) JANIC (国際協力NGOセンター)
正会員団体としての参画を継続します。
(2) JICA (国際協力機構)
NGO-JICA評価小委員会のNGO委員として、NGOの経験を活かしながら、JICA とのパートナーシップを継続します。
9.委員会(チーム)活動
以上の国内事業を推進していくために、理事を中心とした委員会活動をより一層充実させ、会員の事業活動への直接参加を促進していきます。