1. ネパール現地事業

1-1. ダウラギリ・プロジェクト

ヒマラヤ保全協会は、これまで蓄積した経験と育んできたネットワークや人材を活用してこれからも現地の環境保全活動を推進していきます。今後は特に現地で育ってきた人材が各村で交流する機会を設け、これまで学んでくれた人材が、今後は指導する側として仲間を育てていけるプログラムを組んでいきます。そして、どんどん自分たちの力で自分たちの村、山、国を改善できるように、今後も支援していくつもりです。具体的には、ダウラギリ山麓パルバット郡に建設したレスパル村の苗畑のさらなる拡充と技術強化、またいまだ広大な植林需要を抱えるミャグディ郡のバランジャ村、ジーン村も昨年に引き続き植林事業を推進します。

1-2. 果樹(キウイ)による収入向上プロジェクト

これまでダウラギリ地域では、ヒマラヤイラクサとヒマラヤジンチョウゲによる収入向上プロジェクトで成果を上げてきました。新たに2018年度からは、レスパル村を中心に植林事業の一環として果樹の苗(キウイ)を栽培育成および販売することで、持続可能な緑化再生システムの基盤を培う支援を行います。本事業は地震の現地復興支援で余った予算を活用し、地震で壊滅的な害のあったネパール北東部ドラカ郡の農家からキウイの苗株を購入することで間接的な支援としています。苗株は当団体の熟練苗畑管理人によって育苗しダウラギリでの産業に発展させるプロジェクトを展開します。

2. 国内事業

2-1. 国際交流・理解促進事業

ネパール・ヒマラヤ山岳エコロジースクール(MES)の新たな方向性と展開を検討します。(早稲田大学の相馬研究室と連携を図り、国際協力・開発に関心を持つ大学生・大学院生に当協会の活動や事業での経験と情報を共有することで、参加者が自主的に課題研究を楽しみながら現地目線で問題解決に取り組めるスタディーツアーを計画します。

2-2. 広報・地球市民学習事業

◆ 広報推進

  • 日本の山を歩き、自然の中にある奥深い豊かさを感じる交流イベントを計画、開催し多くの方々との交流の場を創出します[佐久間]。
  • 活動地および国内外の活動はホームページで随時報告し、会報誌「Shangrila」は年3回発行します[清田]。
  • 日本国内の農山村が直面している山岳や環境に関する課題・問題について各自理解を深め、本会の途上国での問題解決の経験と成果を活かした活動の可能性を調査・企画します。
  • グローバルフェスタ(例年10月第1週)に出展し、当会の活動を広く一般の人々へ伝える活動を継続します。

2-3. ネットワーク・研究・提言

(1)ネットワーク
  • SDGsの達成に取り組むマルチステークホルダー(政府機関・企業・NGO・教育機関など)の共同勉強会に参画し、各セクターの得意分野を活かした取り組みへの学びを深めます。
  • ネパール・ヒマラヤ地域に関係する団体・学会・研究者などに向けて本会の取り組みや成果を積極的に開示・公開し、産学官の協働の地平を模索します。
  • 日本に在住するネパール人との交流や会合を企画・開催し、日本国内での日本人とネパール人との協働体制の確立にも尽力します。
  • 本年度より事務局長としての役職を見直し、作業の負担が一人に集中しないよう、会長・理事が業務を分業する事務局体制を築きます。
  • 認定の非更新、事務局の体制の見直しを経ても、会費は従来通り一律とします。
(2)研究・提言
  • 事業地を中心としたフィールドで、よりアカデミック研究・分析・事業評価を実施し、成果を定期的に論文・学会などで発表します。
  • 天然繊維の活用技法を日本の古代の手法より学び、ヒマラヤの収入向上事業に活かします。(例:奈良県の月ヶ瀬に残る麻繊維の抽出および織りの技術を研究し、現地フィールドの森林保全と非材木林産物の活用に役立てる方法と試作を学びます)
  • ヒマラヤ保全協会創立者:川喜田二郎のアクション・リサーチの手法を基盤に、常に現地の目線での国際協力のあり方を追求します。

2-3. 「認定」資格更新の非更新

人的・財政的基盤の脆弱さから、認定資格の更新にかかる作業と基準の維持が難しいことから、2018年度9月12日をもって「認定NPO」の更新しない旨を2017年度第9回理事会(2018年4月22日)にて確認した(同体制変更により寄付・会費は控除の対象とならなくなります)。