日本は、高度経済成長とともにふるきよき伝統の多くをうしなってしまいました。ネパールは今、急速な近代化により自然や伝統が破壊されつつあります。これからのネパールの発展を展望するとき、日本の教訓をいかさないではいられません。
2007年最後のサロンでは、このような観点から、ヒマラヤ保全協会のスタディツアーと現地プロジェクトを新たにとらえなおし、ツアー参加者と現地プロジェクトリーダーが、現場の写真をまじえて、支援者の皆様に報告しました。(写真:植樹をする先生と生徒、ナルチャン村)
【会場】(特活)ヒマラヤ保全協会・事務所
■ 参加者の感想
ナルチャン上村
「8月の第19回スタディツアーに参加されたSさんから、カトマンズからナルチャン村までの道程、ナルチャン村の様子を写真と言葉で説明していただきました。土砂崩れで道が寸断されている中を目的地まで向かうのは大変そうでしたが、山に囲まれ、滝もあるナルチャン村はとても美しく、一度は訪れてみたいと思いました」(会員・会社員)
「ナルチャンは私も訪れたことがありますが、本当にきれいなところです。ナルチャンは上下の集落があり、夏季・冬季で住み分けなどしており、特に上ナルチャンの農耕地は本当に美しい風景で、ため息が出るほどです」(会員・教員)
「生計向上事業として行われている製紙事業の説明を聞いて思い出したのが新潟県柏崎市高柳にある和紙工房「越後 門出和紙」です。かつて訪問したことがあるのですが、農閑期のサイドビジネスとして希少性の高い製品を少量生産していました。損をする気はないが、大儲けをする気もない、でも良いものを作りたい、と意欲的で楽しそうな工房でした。ネパールでも商品開発がうまくできれば、付加価値の高い製品ができるのではないか、と思った次第です」(会員・会社員)
紙漉きの様子(ナンギ村)
「門出和紙について、あれ!と思いました。実は私も地域振興の研修にて高柳町を訪問し、そこで紙漉きを体験したことがあったからです。門出和紙は長男であるご主人が、地域の人たちとともにチームを引っ張り、村おこしを長年やり続けた結果のひとつと聞いています。三椏より繊維の短い楮(こうぞ)を使って、良い和紙を漉いている工房です。創作も独自のデザインが素敵です。他にも高柳には魅力ある施設やソフトが多く、日本の農山村開発の先進事例としても有名なようです。
ヒマラヤ保全協会ネパールのマハビール会長が、『ナンギでは、今、地域産業としてクラフト関係や新しい農業等に力を入れている。当面は、ツーリズムが最もうまくいっている』とおっしゃっていました。ふと、高柳の実践とネパールが繋がりました」(会員・教員)