《第17回 ネパールサロン》-生活林づくりプロジェクト・現地活動報告-
【日時】2007年3月17日(土)
【会場】ヒマラヤ保全協会事務所
【話題提供】栗田康二(ヒマラヤ保全協会理事)

 ヒマラヤ保全協会では、「生活林づくりプロジェクト」を2005年度から2つの村で新規に開始しました。この2カ村は、これまでの活動範囲の南(サリジャ村)と北(ナルチャン村)にそれぞれ位置します。両村において今までに、苗畑委員会の発足、住民参加による長期森林管理目標の設定、苗畑管理人への技術研修などをおこなってきました。両村ともそれぞれ苗畑を建設し、苗木の生産に取り組み、1年目の植林を見事に実施しました。
 自然資源を利用した「収入向上事業」にもとりくんでおり、すでにナンギ村におけるアルゲリ(日本名:ミツマタ)事業がありますが、サリジャ村では、ネットル(日本名:イラクサ)による織物とロクタ紙(ネパールの紙)の製造販売が、いよいよはじまります。
 ヒマラヤ保全協会では、プロジェクトの進捗状況を確認し、今後の活動計画を立案するために専門家を現地に派遣しました。
 今回は、現地での活動の様子を、ヒマラヤ保全協会理事の栗田康二さんにくわしく報告していただきました。

<解説:生活林とは>

「生活林」とは、単に木材を生産するだけではなく、薪・家畜飼料・食品・薬品・土壌保全機能など、住民が生活していくうえで重要な機能をかねそなえた森林であり、住民の最も重要な生活基盤となる森林のことである。
 森林は本来、木材などの生産の場であるとともに、下草の刈り場や肥料となる落ち葉集めの場であり、また、田畑や飲料水の水源でもあった。公益的機能を失わずに森林資源を開発できる「生活林」をつくることにより、自然環境と住民の生活を調和させ、森林と人間とが持続的に共存していく道を開くことができる。