《第12回 ネパールサロン》~ネパールの写真を見ながら~

 ヒマラヤ保全協会は、昨年より、ネパール西部パルバット郡サリジャ地区において新プロジェクトを開始しました。この地域はいまだに電気がきていません。つまり開発がなされておらず昔ながらの山村の生活がつづいています。今後、この村はどのように変わっていくのでしょうか?

 今回は、現在の村の様子を写真をまじえて報告し、今後の展望についてかんがえました。

 私たち(田野倉と北原)は、2006年8月26日~31日にかけてサリジャ村に滞在しました。雨季がまだつづいており、連日大雨が降り続いていました。ヒルやダニもたくさんいました。

 サリジャ村では村長さんの家に泊めてもらい、朝・夜と毎日2食のダルバート(ネパール料理)をご馳走になりました。メニューは、ジャガイモの炒めものとダル(豆のスープ)とライスのみの非常に質素なもので、まったく同じものを毎日2回ずつ食べつづけました。今回は私たちのために買ってきたお米をだしてくれましたが、この地では稲がそだたないため、通常は、ディロとよばれるトウモロコシの粉をお湯でといてねったものをライスのかわりに食べています。

 村は、あきらかに貧しくて活気がありません。出稼ぎにでている男性も多いそうです。すぐとなりのナンギ村との格差は歴然としています。

 ヒマラヤ保全協会は、この地で「生活林造りプロジェクト」を開始しました。生活林とは、住民の生活改善に役立つ森林のことであり、薪・家畜飼料・材木などを生産する森林です。また、地域の森林資源を利用した住民の収入向上プロジェクトもはじめる予定です。具体的には、ロクタから紙を、イラクサから生地を生産し販売しようというものです。

 私たちのプロジェクトは、ただ単に森をまもるだけでなく、森林や自然環境を再生しつつ利用し、地域全体を活性化させようというものです。地元の住民が立ち上がり、住民の生活スタイルが改善されてこそ自然環境は保全されるのであり、同時に、これは人間と自然が共生していく道でもあります。

 多くの皆様のご理解とご協力をお願いする次第です。

【話題提供】田野倉達弘(IHC事務局長)、北原和彦(日本大学国際開発学科3年)