2015年8月29日に行われた地震報告会の開催報告です。

8月6日〜26日の期間にネパール現地を視察した ヒマラヤ保全協会事務局長の戸田より、報告を行いました。
多数の方にお集り頂き、発表会後の意見交換も貴重なご意見を頂き、 誠に感謝しております。

今後もこのような報告会を開催予定ですので、 どうぞ引き続きご参加頂ければと思います。

 

写真 2015-08-29 14 56 26 写真 2015-08-29 14 56 39

報告の概要

食料の配給

1.地震直後のヒマラヤ保全協会の動き
  • 事業地の被害を確認したところ、被害は少なかったことが確認された。
    すぐに被災地に入ることが難しかったため、 RESCUE NEPALESE 2015 EARTHQUAKE VICTIMと連携して、現地緊急支援を行った。
  • 現地からの生の声を聞き取り、 「資金は今は、足りて来ている」「一挙に外国からの救援資金が各方面から入り混乱している」
    →今、資金が送金されると公平に配分されず一部の人の懐に入ってしまう可能性がある。 「現地のボランティアも活躍したい、自分たちの国の為に活動したい」
    →支援漬けにならないようにしたい との声を聞いた。

食料の配布2

  • ヒマラヤ保全協会は、現地の緊急支援を得意とはしていない団体ではないので、 現地の方々と相談し、状況を見据えて、生活の基盤を立ち上げること長期的な支援を していくこと決定。

 

 

2.緊急支援から復興支援へ

東日本大震災の地震発生からみる復興までのフェーズ
6ヶ月:緊急支援 ①生命救援 ②食料問題 ③瓦礫処理
6ヶ月〜3年:生活再建・産業再生
3年以降〜:新しい挑戦

緊急支援から復興支援へ
環境再生:自然 土砂崩れ・伐採
経済再生:伝統継承(職人経験値・道具・技法) 民族伝承(固有模様)
公的支援(女性支援・社会的弱者支援) 緊急支援後の復興支援を検討して行くことを決定。

 

3.現地の現状 8月

カトマンズ:通常通りの生活が復旧されている。
国際支援がカトマンズに集中的に入ったこともあり、
一部古い建物が崩れたままの状態だが、ほとんどの町並みが戻っている。
IMG_1499 IMG_1501

震災前と震災後の写真を比較する看板まで立っている。

IMG_1511 IMG_1506

 

 

バクタプル:現地入り直後に瓦礫で塞がれている道路があり、

瓦礫撤去の支援を計画していたが、 数日後に全て、なくなっていた。
住民達が自ら動き、1日1日復興が進んでいる様子が見て取れた。

IMG_1673 IMG_1672

IMG_1674 IMG_1678

 

シンドゥパルチョーク: 公共の森を切り倒して、簡易な住宅を立てて生活している。
一人一人に生活についてのインタビューしてみると、
「家を建て直したい」という要望はあるものの、今のところ問題はないとのこと。
多数の様々な箇所で聞いてみたが、同じ答えだった。 元々の生活ができているとのこと。

IMG_1684 IMG_1685 IMG_1691 IMG_1693

 

ドラカまでの道のり: 食料不足を懸念していたが、道中で通常通りの食事ができるなど、 食料が足らないという現状はない。
しかし、家屋が倒壊しているように見受けられた。

 

ドラカ: 住宅を4、5日で立ててしまう、たくましさがあった。
崩れた家から、必要な物品を取り出して生活。

IMG_1802 IMG_1779IMG_1805 IMG_1808 IMG_1795 ヤギ小屋

必要なものを聞き取り調査したところ、 「農作物として今後も育てられるもの種や果樹が欲しい」とのこと。
生活の基盤になるような、長期的に恩恵が受けられるものが良いと分かり、
急遽、カトマンズに戻り、苗(アボガド、グァバ、カバティ、スンダラ)を購入。
アボガドなどは、高額であるため(170ルピー、日本円で200円ほど)、村の方がは購入が厳しい。 300苗を購入し、1人一株に公平に配布が完了。
スクリーンショット 2015-09-02 13.47.43 スクリーンショット 2015-09-02 13.47.58 スクリーンショット 2015-09-02 13.48.54 スクリーンショット 2015-09-02 13.48.13

4.ドラカの経済再生へ向けて

青年海外協力隊夕部さん(震災前はドラカが赴任地)経由で、 キウイの苗を25年育ててきた研究者の方
ドラカ出身のカトマンズホテル経験者 ドラカで何かをしたいと思う2名と出逢い、
キウイをドラカの産物(kiwi) として、作って行くことを開始 キウイはドラカの気象条件とあっており、
2年でなり始め(リンゴは、収穫まで10年かかる)、
沢山の量が収穫が期待できる。
今後、栽培のトレーニングなどを開始し、
キウイの加工品、ジャムやアイスクリームも検討できるそうだ。

写真左:左から、夕部さん、シャムさん、ケシャブさん
写真右:ドラカでキウイを25年間研究している、シャムさん

夕部さん シャムさん

キウイキウイの苗

 

5.ドラカ県の深刻な問題(環境再生について)

地震による土砂崩れで木が根こそぎ流れてしまっている。
滞在中も2箇所土砂崩れが起こっていた。

雨期後、家を再建する為に
1棟が50本の木を伐採して良いことが取り決められた。
この地域には、900棟があるため、今後膨大な量の木々が伐採され、
環境の再生も必要となってくる。

またドラガの木材は、カトマンズやバクタプルへ木材も送っている関係上、
この地域に住む人が必要な木材以上に伐採される木々があるのも現状。

ヒマラヤ保全協会が培ってきた植林の技術を活かし環境再生への支援を行って参ります。

スクリーンショット 2015-09-02 13.53.34 スクリーンショット 2015-09-02 13.53.42 スクリーンショット 2015-09-02 13.53.49 スクリーンショット 2015-09-02 13.54.03 スクリーンショット 2015-09-02 13.54.11 スクリーンショット 2015-09-02 13.54.20 スクリーンショット 2015-09-02 13.54.33 スクリーンショット 2015-09-02 13.54.51 スクリーンショット 2015-09-02 13.55.02 スクリーンショット 2015-09-02 13.55.11 スクリーンショット 2015-09-02 13.55.21

 

6.新しい試み

ArtVilledageという所では、廃材などを利用して、Earth Back House が作られていた。

ウィスキーのボトルやペットボトルを利用して、素晴らしい家が立てれていた。

一部楽しみながらも、自分たちで家を作り出せるという、粘り強さや生きて行く強さを感じた。

 

スクリーンショット 2015-09-02 13.59.55 スクリーンショット 2015-09-02 14.00.27 スクリーンショット 2015-09-02 14.00.39 スクリーンショット 2015-09-02 14.00.55

 

概要は以上です。

最後に

カトマンズでは、外国人観光客が全く見受けられなかったとのこと。
会場内からも是非観光しに行って下さいとのお声がけを頂きました。
また、木材の伐採の状況は初めて聞いたとのこと、是非ヒマラヤ保全協会から発信して行って欲しいなど、
有り難いお言葉を頂戴いたしました。

開催後にお答え頂いたアンケートでは、「時間が短かった」「もう少し聞きたかった」「交流の時間が欲しかった」など、たくさんのお声を頂きました。
ヒマラヤ保全協会としましても、皆様との交流を深めていき、今後とも情報の共有やご意見を頂戴できればと考えております。
改めまして、どうもありがとうございました。

 

(文責:清田)