– 住民主体の環境保全 – 
<JICA地球ひろば ネパール関連セミナー>
ヒマラヤ
事業地の村から見たヒマラヤ

世界の屋根・ヒマラヤは8000m級の峰々がどこまでもつづく、世界で最も雄大な自然が息づく地域です。その山麓には沢山の人々が暮らし、この地域の民族多様性は世界随一となっています。

しかし、ここヒマラヤでも、人口の増加やオーバーユースなどにより環境の悪化がつづいています。

ヒマラヤ山岳地帯で暮らす人々は、今でも、自然環境に大きく依存したライフスタイルを持っています。そこで、住民が、自然環境を守りつつも自然資源をうまく活用するといった仕組みづくりが必要になってきました。これが、住民の主体的参加による環境保全活動の実現につながってきます。

今回のセミナーでは、この国際協力活動の現状・成果・教訓などについて、青年海外協力隊での経験、その後のNGOでの実践を通してかたりました。

【日 時】2010年9月25日(土)14:00 – 15:30
【会 場】JICA地球ひろば > 東京メトロ日比谷線・広尾駅下車(3番出口)徒歩1分
【講 師】田野倉達弘(ヒマラヤ保全協会事務局長、ネパールNGOネットワーク事務局長)
村人とともに
村人とともに(ナンギ村にて)
夕日に燃えるヒマラヤ
夕日に燃えるヒマラヤ(ポカラから)
トリブバン大学の学生
トリブバン大学の学生とともに
(タンセンにて)

講演アウトライン

1 ヒマラヤは世界でもっとも多様性のある地域である。
1.1 ヒマラヤの国といえはネパールである。
1.2 ヒマラヤの高度差が自然環境の多様性を生みだしている。
1.3 地球環境の指標としてのヒマラヤ:地球温暖化により氷河が消滅しつつある。
1.4 多様な自然環境の中で様々な民族がすみわけている。
1.5 各民族と彼らをとりまく自然環境が固有な地域を生みだしている。
1.7 ネパールを理解するポイント:モデル(模式図)と4Nロゴをつくる。

2 ヒマラヤの環境保全活動を実践する。
2.1 ネパール青年海外協力隊の隊員としてネパールに赴任する。
 2.1.1 ネパール国立トリブバン大学地質学科に勤務する。
 2.1.2 バチュラーコースの学生を指導する。
 2.1.3 大学院生とともにフィールドワークを実施する。
 2.1.4 応用地質学にとりくむ。

2.2 ボトムアップ方式の活動をNGOで実践する。
 2.2.1 認識にとどまらずに実践の道へすすむ。
 2.2.2 ヒマラヤ保全協会はヒマラヤの環境保全活動をおこなっている。
 2.2.3 ヒマラヤ山村の植林活動にとりくむ。
 2.2.4 生活林づくりプロジェクトを開始する。
 2.2.5 低カースト~上位カーストのすべての人々と出会う。
 2.2.6 格差是正のために、山村僻地における活動こそ重要である。
 2.2.7 ネパールNGOネットワークを再構築する:個々のNGOと全体的なネットワーク。

3 現地の人々とともにあゆむ
3.1 ヒマラヤ山村では、集落のまわりを自然環境がとりまいている。
3.2 地域は主体-環境系としてとらえることができる。
3.3 事業を持続させるためには住民参加が不可欠である。
3.4 参加から参画へ:参画型アプローチ「KJ法」を実践する。
3.5 主体-環境系は情報処理系でもある。
3.6 住民主体のシステム:住民が主体になった環境保全活動により地域を活性化させる。
3.7 現地の人々とともに活動をすすめる。
 3.7.1 現地住民とNGOスタッフ(ネパール人・日本人)が一体になって活動する。
 3.7.2 現地語をつかい、雑談の中からニーズをつかむ。(空間的)
 3.7.3 時間を管理し、タイミングをあわせる。(時間的)