サリジャ村の苗畑委員たち
ダウラギリ・プロジェクを開始してから2年2ヵ月がたちました。苗畑管理人の能力は向上してきましたが、一方で個人差もでてきています。また、森林を保全しつつ森林を利用するという一見矛盾することを実現していくためには、住民自身で森林の維持・管理ができるようにしていかなければなりません。収入向上事業では、ワーカーさんたちの技術はアップしましたが、マネージメントもできるようにならなくてはなりません。
今回のネパールサロンでは、このような、あらたに見えてきた問題点と今後の解決策を中心に報告します。
【会 場】ヒマラヤ保全協会事務所 > JR代々木駅徒歩10分
【話題提供】ヒマラヤ保全協会事務局長 田野倉達弘、現地スタッフ(専門家)戸田裕子
【申込み】前日までにe-mailでご氏名をご連絡ください。(参加無料)
【申込先】ヒマラヤ保全協会事務局 e-mail: ihcjpn★ybb.ne.jp(★を@に変えてご送信ください)
苗木の世話をするPさんら
2年前に植えた木が大きくなってきた
織物リーダーのGさん(右)
解 説
1.植 林
2012年度は夏季に約2万本の植樹をし、現在、約29,200本の苗木を育成中です。植樹は夏季(雨季)におこないますので、この約29,200本の苗木は2013年夏季に植樹することになります。
今後の課題 :プロジェクト開始から2年2ヵ月がたち、苗畑管理人の能力は向上してきましたが、一方で個人差もでてきています。能力の低い苗畑管理人に対しては指導を強化していかなければなりません。今後は、のべ約5万本/年の苗木を育成できるように努力します。
2.森林保全と生活改善
薪・堆肥・家畜の餌・材木・果物などの森林資源を、計画的・効率的に居住地に供給できるようにし、また、交流や学びの場(コミュニティホール)もでき、住民のための生活改善の基礎ができました。
今後の課題:森林は継続的に保全していかなければなりません。その一方で、地域住民に森林資源が供給されなければなりません。この、森林を保全しつつ森林を利用するという一見矛盾することを実現していくためには、住民自身による森林の維持・管理が必要不可欠ですので、このことをさらに徹底して指導していきます。
3.収入向上
ワーカーさんらのスキルアップ・トレーニングを実施して、紙漉き・織物ともに商品として通用するレベルまで生産技術を向上させました。市場調査を実施、営業活動をおこない、販売ルートを開拓、商品を販売できるようになりました。
今後の課題:営業と複式簿記が自分たちで自力でできるようにし、収益をもっとあげられるようにしなければなりません。紙漉事業については、現在、カトマンドゥのS工場に販売していますが、他にも販売ルートを開拓する努力を紙漉委員会みずからがおこなわなければなりません。織物事業に関しては、特定の人のみが大きな収入を得る例がでてきてしまったので、本事業が公共事業として村の活性化につながるように指導していきます。 特に、施設の利用方法などにおいて公私の区別をするように指導を強化します。