本年は、特別講演(特別企画)として、国立民族学博物館准教授、ヒマラヤ保全協会会員の南真木人先生をおまねきし、「ネパール・ヒマラヤの人々と暮らし」についてご講演いただきました。また、会員総会の事業報告では、現地ネパールのすばらしい写真の数々をプロジェクターをつかって紹介しました。

【日 時】2007年7月7日(土)
【会 場】特別講演会・会員総会:環境パートナーシップオフィス・会議室(B2F)
      > 地図[HTML] 
      
(渋谷駅東口から徒歩10分:東京都渋谷区神宮前5-53-67 コスモス青山B2F)
     懇親会:カンティプール(ネパール料理レストラン、渋谷駅西口から徒歩2分)> 地図

プログラム

1.特別講演会「ネパール・ヒマラヤの人々と暮らし -内と外-」

講師:国立民族学博物館准教授・南真木人

 今回の特別講演会では、ネパールおよびネパール人の文化人類学的研究を長年つづけられておられる、国立民族学博物館准教授、ヒマラヤ保全協会会員の南真木人先生に「ネパール・ヒマラヤの人々と暮らし -内と外- 」と題してご講演いただきました。「内」とは、ネパール国内の動向、「外」とは、日本や英国など海外に住むネパール人の暮らしについてのことでした。
現在のネパールとネパール人の状況について、人類学者の視点からわかりやすくお話しいただきました。

◆ 南先生のご紹介:こちら国立民族学博物館のページをご覧ください

ネパールの人々と暮らし

 講演では、日本において、民族集団(ジャナジャーティ)とカースト集団(特に上位カースト)との間で人口や政治的な力の逆転現象がおこって民族意識が覚醒し、国家を越えたトランスナショナルな狭間(時空)に新たな理想的な社会空間を生みだされていることが解説されました。当日、参加者から出された感想をまとめると次のようになります。

 南先生は、普段は手に入らない情報を足を運んで集めています。私は、ネパールや日本に住んでいるネパール人の知り合いから断片的にはいろいろ話を聞いていましたが、しっかりした調査に基づく今日の説明を聞いて頭がクリアになりました。スライドをつかって時系列的に示された解説は大変わかりやすく、興味をもって聞くことができました。とてもよかったです。
 ネパールの内と外の状況、その問題、あるいはカーストについてもよく知らなかったので勉強になりました。ネパールって本当におもしろい国ですね!!南先生のお話は外部の人にももっと聞かせてあげたいです。
 今日の話にあった「少数民族の伝統→宗教→文化」とは非常に難しいテーマだと思います。少数民族の言語の保存や育成の問題と併行して、これからどうしたらいいものか見当がつきません。ただ、流動的なネパール情勢の中で、多くのネパール人が海外に生活の糧を求めて働いていること、その中で、民族を同じくする者同士の姿やかかわりが見えてきました。
 海外で働いているネパール人がどれだけ多いことか。驚かされます。日本にも多くいることも知らなかったので、3Kの仕事を、こういったネパール人や海外の人々が支えているんだなぁと思いながら、日本国内でのネパール人の実態を理解することができました。
 私たち日本人は、日本で暮らしているネパール人たちとの関わり方を、これから真剣に考えていかなければならないなーと感じます。最後の、在日ネパール人の多くの人々が、「日本ファン」になっているという話はなるほどと思います。外国の方々が安心して暮らせるような社会であって欲しいと願います。

2.会員総会

開会挨拶
■第1号議案:2006年度事業に関する事項(事業報告)
(1)ネパール現地事業
(2)国内事業
■第2号議案:2006年度決算に関する事項(決算報告)
■第3号議案:2007年度事業計画
(1)ネパール現地事業
(2)国内事業
■第4号議案:2007年度予算
■第5号議案:理事の選任
閉会

ネパール、拡充された苗畑
拡充された苗畑(ナルチャン村)

 2007年度会員総会の議案はすべて承認され、本年度は、「生活林づくりプロジェクト(第2フェーズ)」「エコ・プログラム(ゴミ処理・観光ルート美化)」を重点事業としてネパール現地活動をすすめていくことになりました。会員総会参加者の感想・コメントをまとめると次のようになります。

 全体を通してレベルの高い充実した真剣な総会でした。また参加させてもらいたいと思います。今回、お話しを直接聞いて活動の内容がわかり、とても勉強になりました。今後とも、少しずつ協会の活動を学ばせていただき、今度は、一つでも多く実際の活動に参加できたらと思います。
 既存の支援地での活動を終了し、新プロジェクトに着手していくことには敬意を表し、賛成します。地道な活動が少しずつ根付いている様子が良くわかりました。報告の中では、ゴミ処理について大きな問題になることが今後予想されます。ネパールにおける処理システムはよくわかりませんが、観光の面からも早急に対応が必要ではないでしょうか。
 その国にとってどんな支援が必要なのか、資金だけではなく、自立できる計画案を立てるのは大変ですね。お金や施設などを単に与えるのは自立に逆行するのでダメです。あくまでもネパールの現地の自立を願っています。
 今日の報告を踏まえ、これまでの諸活動の評価(方向性、効果、限界・・・)を行い、それを、今後の方向性を議論する土台としたいです。特に一過性のイベントをどう位置づけるかが問題だと思います。活動を進めるには金と人材が必要です。金は難しいかもしれませんが、人材は財産として活用できます。これまでに参加してきた人々のリストをつくり、いつでも検索できるようなプログラムを作成したり、また、メールでの連絡ネットワークをもっと活用すべきだと思います。ヒマラヤ保全協会の5年後、10年後の行き着いた姿、あるべき成果を皆で考えてみて、それに向け、どうアプローチするかを検討してみたいです。村人、行政、JICA、青年海外協力隊、国などと、当協会との強調も重要でしょう。また、スタディツアーにもたくさんの参加者があつまってくることを願っています。

会費のご納入をお願いします

 ネパールは、10年間にもおよぶ内戦がようやく終わり、あたらしい政府のもとで復興をはじめたところです。ネパールの人々は、今まさに支援を必要としています。
会員の皆様からおあずかりする会費は、下記事業をすすめるために責任をもってつかわせていただきます。今後とも、ネパールとネパールの人々を末永くご支援くださいますようよろしくお願い申しあげます。
・森林保全・環境保全のための苗畑運営費
・トレッキングルートのゴミ処理・美化費
・めぐまれない子供たちへの奨学金支給
・緊急支援「アウラ村崖崩れ対策」費
皆様の会費がネパールの復興を支援します!

振込先
■ 郵便振替 00100-0-709154 ヒマラヤ保全協会
■ みずほ銀行新宿南口支店 普通2005209 特非)ヒマラヤ保全協会
(A:10,000円, B:7,000円, C:5,000円のいずれかをご選択ください)