サリジャ村の森林委員会のメンバー
森林委員会のメンバー
(サリジャ村)
ヒマラヤ保全協会は、パルバット郡サリジャ村において「生活林づくりプロジェクト」をおこなっています。将来的に、現地住民が自立的継続的に生活林づくりができるように、住民による森林委員会を結成し、住民が主体になった事業をすすめています。

1. ネパール現地事業報告

ネパール事業地の地図

<事業地の位置図>
既存事業地である「キバン-ナンギ地域」からは徐々に撤退し(2007年度末をもって支援を終了します)、その南部の「サリジャ地域」および北部の「ナルチャン地域」、カリガンダキ川流域においてあらたな事業を展開しています。

1-1. 生活林づくり(新プロジェクト)

 新プロジェクト地、パルバット郡サリジャ村およびミャグディ郡ナルチャン村において、生活林づくりプロジェクト第1フェーズを終了し、第2フェーズ(生産能力・生計向上計画)を開始しました。日本からは専門家を派遣し、調査・指導・評価をおこないました。
 ナルチャン村・サリジャ村の2ヵ村で、合計約1万6千本の苗木を生産し、植樹しました。
 第2フェーズでは、イラクサから生地を、ロクタ(ミツマタの一種)から紙を生産し、地域や住民の収入を向上させる計画を立案し、着手しました。

サリジャ村中心部
サリジャ村の中心部

サリジャ村は、ヒマラヤの中間山地の南斜面に位置しています。平地はほとんどありません。また、道路や電気もきていません。
イラクサの樹皮
イラクサの樹皮

生活林づくりプロジェクトでは、森林資源を有効に利用し、地域や住民の収入を向上させることもめざしています。写真は、イラクサの樹皮であり、これをボイルして繊維をとりだし、糸をつくります。
イラクサの樹皮からとられた繊維
イラクサの樹皮からとられた繊維

写真は、イラクサの樹皮からとられた繊維です。これをつむいで糸にします。

<村人の声>
「ヒマラヤ保全協会との出会いは本当にうれしいことです」
「ヒマラヤ保全協会の皆さんに支援していただき大変感謝しています。ありがとうございます」
「今年は2万本の植樹をします」
「製紙にしろ織物にしろ、元々ネパールにあった技術を生かし発展させるプロジェクトであり、私たちの能力を伸ばすことができます」
「私たちの村には今まで産業もなく貧しかったですが、これで希望が見えてきました」
「女性が参画できることは非常に画期的なことです」
「森林を保全しつつ森林を利用し、地域を活性化させることはまったくはじめての試みです。かならず成功させます」
「ヒマラヤ保全協会の皆さんも私たちの村に是非いらしてください」

1-2. 森林保全(キバン-ナンギ地域)

 ミャグディ郡キバン村・ティコット村・アウラ村・ナンギ村において、のべ約5万7千本の苗木をそだて、約2万9千本を植樹しました。また、家畜から木をまもるためのフェンシングをおこないました。

1-3. 生活廃棄物処理

 ネパールでは、ライフスタイルの変化により、様々な生活廃棄物(ゴミ)が多量に廃棄されるようになりました。そこで、パルバット郡サリジャ村およびオカレニ村でゴミ箱を作成し、ゴミ集積場を建設しました。また、住民を対象に、生活廃棄物処理のワークショップを開催しました。参加者は47人でした。

学校に設置されたゴミ箱と生徒たち
学校に設置されたゴミ箱と生徒たち

学校にもゴミ箱(緑色の缶)を設置し、生徒たちに、ゴミはゴミ箱にすてるように指導しました。写真はオカレニ村に設置したゴミ箱とそこの小学生たちです。

1-4. 上水道建設

 ガーラ村およびリマ村の僻地集落に上水道を建設し、のべ約800人の人々に衛生的な水道水を供給できるようにしました。これにより、住民の水くみに要する労働がなくなるとともに、住民は病気にもかかりにくくなりました。

1-5. チベット文化保全

 ネパール国内に居住するチベット民族および彼らのコミュニティにおいて、近年、母語であるチベット語や固有の伝統文化が急速にうしなわれつつあります。そこで、2006年12月16日~2007年1月14日に、ムスタン郡ジョムソンで、子供たちを対象にしたチベット語および伝統文化教育のプログラムを実施しました。参加者は19人でした。

1-6. 教育支援・保健衛生

 めぐまれない子供たち34人(6~12年生)に奨学金(一人あたり600~2,000ルピー)を支給しました。
 トゥクチェ村(タカリー族の村)の学校に理科教材・実験用具を支給しました。
 若い人々を対象に、HIV/AIDS保健衛生ワークショップを開催しました。参加者は23人でした。

1. 国内事業報告

2-1. 国際交流・理解促進事業

(1)夏のスタディツアー

「カトマンドゥ近郊、ダパケル村ホームステイの旅 8日間」を実施しました。

(2)第13回山岳エコロジースクール

山岳エコロジースクール「~体感!エコロジーライフ in ヒマラヤ~ - 氷河の見える秘境の村・ナルチャン村へ行こう!-」を開催しました。

(3)日ネの学校の交流

日本の小学校とネパールの学校との交流をすすめました。

2-2. 広報・地球市民学習事業

(1)広報活動

会報「シャングリラ」を4回発行しました。
ホームページをリニューアルし、内容を充実させました。
明治大学、国際協力機構(JICA)、千代田区などに講師を派遣しました。

(2)ネパールサロンを開催

第4回:「ネパールの最新事情」「ダパケル村訪問」(話題提供:田野倉達弘)
第5回:「国際協力スタディツアーの現状と課題~MESを事例として~」(話題提供:田中博)
第6回:「ヒマラヤンマテリアルとフェアトレード」(話題提供:遠藤昭一)
第7回: ワイン・パーティー
第8回: 映画「キャラバン」上映
第9回:「ネパール情勢を読む」(会長・水野正己トークショー)
第11回:「世界の屋根ヒマラヤを守れ -ヒマラヤ技術協力会の森を守る活動-」(ビデオ上映)
第12回:「電気のない村・サリジャ -ネパール・プロジェクト地からの報告-」(話題提供:北原和彦)
第13回:「ネパール・エコツアーの楽しみ方」(話題提供・中澤朋代)
第14回:「Let’s enjoy the Nepal trekking!・・・ネパール・トレッキングを楽しもう」(話題提供:野瀬祥男)
第15回:「トーク&トライ 国際協力セミナー」(話題提供:竹内翔)
第16回:「ヒマラヤ・エコツーリズムの可能性 -山岳エコロジースクール報告会-」(話題提供:スクール参加者)
第17回:「新プロジェクトが進む -生活林づくりプロジェクト・現地活動報告-」(話題提供:栗田康二)

(3)ネパール家庭料理教室を開催

第1回:「ネパールのミルクティー&軽食サモサ」
第2回:「チキンマサーラ&ゴルベラアチャール」
第3回:「モモ&ゴマ風味アチャール」

(4)参画型アプローチKJ法講座を開催

第1回・第2回:「暮らしと夢」

(5)ハイキングを実施

第1回:「奥武蔵/日和田山ハイキングと阿里山カフェでお茶する会」
第2回:「霊峰大山清掃ハイク」

(6)パネルディスカッションを実施

「カトマンドゥ近郊に暮らす人々の暮らしと文化」をスラブ・タパさんをまねいておこないました。

(7)グローバルフェスタ2006に出展

展示・物販:ヒマラヤ保全協会の活動紹介、山岳エコロジースクールの広報、他。
食販:チヤ(ネパール・ミルクティー)&チベッタンブレッド。

2-3. ネットワーク、研究・提言事業

(1)国際協力NGOセンター(JANIC)に会員として参画しました。
(2)ネパールNGOネットワーク(4N)に会員として参画しました。
(3)流動的なネパール情勢について分析・研究し、発表しました。

◆ 国内事業の詳細につきましてはこちらです